校長日記32
1・2年生の通学合宿
 令和元年10月10日(木)から2泊3日の日程で小学校1・2年生限定の通学合宿を実施した。福岡県からの委託事業であった。生活体験学校においては過去に、2005(平成17)年7月14日(木)から16日(土)まで2年生だけの10名が通学合宿をした事例がある。2006(平成18)年3月、飯塚市と嘉穂郡4町が合併してからは、旧庄内町の2年生が3泊4日、3年生が4泊5日の日程で、4年生以上が参加する6泊7日の通学合宿に合流する形で実施してきた。それも、2015(平成27)年以降は庄内小学校4年生以上に限定して6泊7日の通学合宿を実施してきた。今回の1・2年生限定の通学合宿は、初めてのことではないけれども、初めてに近いような稀有な企画であった。日程を計画する場合、1・2年生の足でどの程度の所要時間を見込むかが最初の問いである。
 10月10日(木)1年生の放課は14:35分だった。2年生は15:25分だった。それぞれ5時限目、6時限目の終了まで児童は在校した。1・2年生が集合して庄内小学校を出発したのは15:35分だった。下校を引率したのは、職員の原君と津山さんの二人である。児童は放課後わずか10分で集合し、生活体験学校に向けて出発した。通常はこのような短時間で集合、出発というわけにはいかない。庄内小学校教員の皆さんの指導があっての集合、出発であった。
下校に要した時間は45分である。歩く時間が45分を要したのではなく、明日の登校時の注意をさまざま行いながら帰ってきたのである。特に車道にはみだしてはいけないということは、念入りに分からせておく必要がある。生活体験学校に着いたのは、16:20分だった。事前に作った日程では、16:45開校式、17:00から係活動になっていたが、通学合宿のプログラムは既に下校の指導から始まっていた。活動する各係は、「おかず係」「菜園係」「ご飯係」「風呂係」の四つで動物係は菜園係がおこなうことになっている
 翌日11日(金)の登校開始は7:20分で、学校到着は8:00だった。歩いた時間は40分だった。この通学路のT字路や信号機のある交差点で出くわす児童のなかに合宿経験者の児童がいる。これらの合宿経験者と集団をなして通学できれば初めての参加者も安心できる。2日目の下校は15:35に集合して16:30に帰り着いた。55分かかったことになるが、初日に比べると10分ほど余計にかかっている。2日目ということで、かなり疲れていた模様である。1・2年生限定通学合宿の場合の登下校に関する様子は以上の通りだったが、ともあれ交通事故の多い昨今、それも登下校中の児童が巻き込まれる事故も多い時期の通学も事故なく終えたのである。
事業の成果と言えば大げさに聞こえるかもしれないが、今回の委託事業で初めて1年生を公募対象にした合宿事業を実施できた。それも通学を含む事業は初めてであった。公募定員20名に対して30名を超える応募者があり、抽選して参加者を絞る結果になった。プログラム構成は、長年実施してきた小学校2年生以上を対象にしたプログラムの内容から、難度の高い内容(例えば飯盒炊飯など)を省くという引き算のプログラム構成を試みて結果は成功した。最も心配したのは、繰り返しになるが登下校中の交通事故だった。園児や児童が犠牲になる事故が頻発している最近である。「高齢者が起こす交通事故」と言われると私のことを言われているように聞こえる。プログラムを作る際に、初日の下校指導をプログラムに入れて最初から丁寧に登下校指導をした。参加者の顔を見知っている認定子ども園の退職者をスタッフに加えるなど児童の安心感を得るよう工夫した。この「工夫」と言えばたったの一言だが、そう簡単に協力者などに出会えるものではない。職員が知恵を絞って協力者を求め探してくれたから実現したのである。また、回数多く通学合宿に参加した経験を持つ女子高校生を、女子児童と共に寝泊まりさせる(2泊)ことで、1・2年生の気持ちの安定を図るよう留意した。こう書いてしまえば、これまた僅か一行の文章だが、言うは易くで、実際の場面になると果たして高校生の誰が児童と一緒に泊まってくれるかと探して見れば、そうたやすく見つかるものではない。応募者の確保や初日からの下校指導などに筑豊教育事務所と庄内小学校の格別の支援協力があって実現したことは多い。長いこと小中学生を対象にした合宿事業に関わってきた私だが、大勢の方々、実にたくさんの組織・機関に助けていただいて、どうにか今日まで続けてこられたのである。一人でできることといえば多くはない。皆さんの力を借りて歩くしかない。この事業もそうであった。
(飯塚市庄内生活体験学校々長、2019(令和元)年11月22日)