校長日記21
ヒットした石焼きイモ釜!!
 去年、平成29年1月に書いた校長日記13で、倉庫内で見つかった鋳物作りの簡易カマドを活かして石焼きイモ釜を作ったことを紹介した。その釜を使って1月14日に体験合宿15班の子どもたちに石焼きイモを作って食べさせたこと、さらには野菜作りの活動に参加した親子が、1月22日ピザ焼き交流会を企画して、本命のピザに加えて石焼きイモを見事に焼き上げたところまで書いた。末尾に石焼きイモ釜は、好評著しい先発のピザ焼き窯に並ぶヒットになるのではないかと書いたが、ヒットどころかホームランと言っても良いくらいの成功を収めている。少し、その経緯を紹介したい。
 
 そもそも、平成29年度は幼児の野外活動を支援する活動に力を入れたいと考えて活動してきた。平成29年6月15日には、飯塚市教育委員会生涯学習課の原課長補佐に同道していただいて、私立保育園の園長会議と私立幼稚園の園長会議に出向いて挨拶をさせていただいた。初めてのことであった。この時期には、幼稚園、保育園(所)・認定子ども園(以下、幼児の保育・教育施設という)と石焼きイモ釜の関係は発生していない。9月14日に庄内子ども園に軽トラックでヤギを運んで展示する出前講座に取り組んだ。この時には話題として石焼きイモ釜がありますよ、使ってみませんかという話題になった程度であった。10月22日、ピザ窯建屋に新たな板張りをしたのを記念してピザ焼き体験会を企画した。板張りは約7m×4mの立派なものであった。この日の企画に応じて参加してくださったのが愛宕幼稚園であった。職員8名、家族(子ども)6名、合わせて14名の参加だった。この体験会参加がきっかけになって生活体験学校と愛宕幼稚園の連携が動き始める。もちろん、石焼きイモ釜の説明もしたし勧めもしたが、愛宕幼稚園の一学年の人数は90名近いという。今の釜を使ってイモを焼いていては、一学年分90個を一斉にというのは難しい。愛宕幼稚園の皆さんの興味はイモ釜よりもサツマイモの畑に向いていた。イモを掘らせてもらえるだろうかという話になった。このイモ畑の苗は、3つのグループが植えたものである。一つは1泊2日の生活体験合宿に参加した子どもが植えた苗、二つ目は生活体験塾「サツマイモの作り方」に参加した子どもが植えた苗、三つ目は私が3月まで勤めていた純真短期大学食物栄養学科の学生が植えた苗である。誰が植えたイモかを示す立札があるわけではない、初めて見る人には一面に広がるイモ畑しか映らない。植えた3つのグループに還元して、なお90人近くの子どもが掘れる量のイモが入っているかどうか、掘ってみなければ分からない、悩ましい場面である。一抹の心配は残ったものの、全くできない相談でもないだろうと決心して応じることにした。11月15日、年中児87名が芋ほりにやってきた。生活体験学校にとっては、初めての平日昼間の利用者である。職員総出で応対した。これはこれで書くことは多くあるが、今回の主題はイモ釜である。子どもたちは、一畝35株のイモ4畝を掘って無事帰っていった。イモは1名に1個あてお持ち返りいただいて、残りを愛宕幼稚園の「収穫祭」の機会に石焼きイモを作るための食材として園に提供した。「収穫祭」の期日は、11月21日である。11月4日から新たに釜の製作がドラム缶を使って始まった。同月10日には2基の新たな石焼きイモ釜が完成した。ドラム缶はイモを焼くために使う物だから新品でなくてはいけない。わざわざ断るまでもないことだが、一度でも石油を入れた使用済のドラム缶では油臭くて使い物にならない。新品のドラム缶は値段も高い。苦心の末に完成した釜は試しに生イモを入れて焼いてみなければならない。分かってきたことは、強火で焼くとイモの皮が焦げてしまう、弱火でやけば焦げ目はできないが時間がかかるということである。要は、その火加減が難しいのである。愛宕幼稚園の園庭を舞台に、見たこともない手製のイモ釜に子どもの目線は興味深々である。11月21日の石焼きイモは、予定の時間にどうにか間に合うタイミングで終わった。味そのものはなかなか好評だった。
(飯塚市庄内生活体験学校々長、平成30年 1月16日)